福嶌大使から離任のご挨拶

此の度、駐バルバドス日本国大使としての任務を終え、日本に帰国することとなりました。
私が好きなバルバドスの歌「ビューティフル・バルバドス」の歌詞にバルバドスを「カリブ海の宝」と形容する表現がありますが、当国の豊かな文化に触れ、素晴らしい人達に出会い、当館での活動を通じて両国の絆の深まりを実感出来たことは、私にとりかけがえのない宝になったように思います。
日本とバルバドスは、1967年の外交関係樹立以来、自由、民主主義、人権の尊重といった価値を共有してきました。両国は、国連を含む様々な国際場裡で協力を行っています。また、両国は、共に島嶼国として、気候変動や災害に対する脆弱性を克服に向けて協力してきました。例えば、日本は、防災、再生可能エネルギー、ハリケーン・ベリル後の漁港施設の強靱化等の分野において国際協力機構(JICA)を通じた能力構築支援を行い、また、バルバドスを含むカリブ諸国を対象に、国連開発計画(UNDP)を通じたサルガッサム(海藻)の管理や米州開発銀行(IDB)を通じた沿岸地域管理の支援等を行っています。
在任中、両国間でハイレベルの交流が活発に行われたことを嬉しく思います。
例えば、2023年には、5月に当時の林外務大臣が日本の外務大臣として始めて当国を訪れ、ミア・モトリー首相、ケリー・シモンズ外務貿易大臣を表敬しました。9月には、上川外務大臣(当時)が国連総会開催時にニューヨークでモトリー首相と会談を行いました。11月にはカーク・ハンフリー国民エンパワーメント・高齢者問題大臣が日本を訪れ、日本の福祉施設を視察し、日本の指導者と会っています。本年12月には、シモンズ外務貿易大臣が日カリコム外相会合出席のため、日本を訪れています。
学術分野では、西インド諸島大学ケーブヒル校のクライブ・ランディス校長がAPIC(国際協力推進協会)のスキームにより訪日しました。既存の国費留学生、JETプログラムに加えて、同校の卒業生が日本に留学する機会が同校と上智大学、APICとの協力により創出されました。また、バルバドス・コミュニティ・カレッジにおいて、アニメ・ゲームの学位認定コースが創設された後、日本語のクラスが開講されています。
2024年は、日カリブ交流年を記念し、当館は、日本祭り、日本映画祭、地唄舞公演、アニメに関するセミナー、柔道xインクルージョン等、数多くの文化行事を主催しましたが、いずれも盛況で、好評を博しました。今後もバルバドスの多くの人々が日本の行事に参加し、楽しんでもらえることを願っています。
当館が実館として開館して以来、8年の間に、両国関係は拡がりと深まりを見せつつ進展しており、皆様の懇切なるご支援・協力があってのことと感謝申し上げると共に、引き続き当館にご支援・協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
末筆ながら、どうぞ良い年末年始をお過ごし下さい。ご多幸をお祈り申し上げます。
令和6年12月
駐バルバドス日本国特命全権大使
福嶌 香代子